石田天海賞は1968年から始まり、1997年の第30回石田天海賞パーティを最後にピリオドを打たれました。石田天海賞が発足した1960年代、日本奇術界は急速に発展していましたが、その発展の基礎になったものは、殆んどが、欧米から輸入された、書籍やネタによるものであって、日本人独自の力で開拓したものではありませんでした。
世界で活躍し帰国された石田天海氏は「日本ではオリジナルが大切にされていないこと」「外国のネタをいち早く伝える人が、もっとも進歩的に考えられ、そのコピーを多くの奇術家が追随して知的所有権に対する考えがないこと」を嘆き、「このままでは日本はやがて世界から多くの非難を浴びるようになるかもしれない」ということを心配しておられました。
そこで風呂田政利氏が発起人となり(オリジナルを尊重し、オリジナルを創ることをすすめる)という目的で「石田天海賞」が誕生しました。
後半は、日本奇術界も大きく変化しオリジナルを考える人も増えてきて、状況が変わってきたために選考対象も最初の頃とは違ってきたようです。
このように日本奇術界に多大な貢献をされてきた御二人ですが、石田天海氏が1972年に風呂田政利氏が2003年にお亡くなりになりました。御二人のご冥福をお祈りします。
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